2013年7月24日水曜日

天ぷら(う。)

本番が近づいてくると、いつも何故だか天ぷらが食べたくなる私である。

今回は役者としてのみならず、作・演出家としても参加しているのであるから当然、天ぷらを食べたい気持ちは2倍だ。


たがしかし、私は本番が終わるまでは決して天ぷらを口にはしない。
ただ食べたいという欲望をじっと見つめるのである。見守ると言ってもいいかもしれない。


そう私の芝居はいつだって、天ザルにすべきか、天丼でいくべきか、という葛藤とともに幕をあけるのだ。

嗚呼、天ぷらがサクサクの衣に包まれた海老が、茄子が、呼んでいる。

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月曜日は稽古だった。
自分の演出パートは滞りなく進んだのだが、
問題はその後だ‥


そう、あの忌々しいクソガキがまたしても遅れてきた。


今思い出しても腹が立つ。
あまりの腹が立たしさに、妻の乳首を80%程の力でツネりながらこの文章を書いている。



悪いが俺はアイツを演出家とは認めちゃいない。あんなボンクラは屁の突っ張りにもなりやしない。
というか、ヤツの存在じたいが、そのものズバリ屁だ。
屁に字が書けるわけがないので、ヤツの台本はネットからコピペしてきただけか、あるいはお母さんが書いているのだろう。


ヤツがあのマヌケな面で必死に急いで来ました的な顔を作って登場したときには、あまりに頭にきて目から鼻血が出そうだったが、役者としてのオレのプライドが何とか冷静さを保たせた。

共演者の皆はこの身勝手なシャクレ野郎に対してトサカにこないのだろうか?一体どれだけ優しいんだ!!?

と思って、周りを眺めてみる。


まず、江田がなぜか寄り目の練習をしていた。
今年の忘年会で披露する、と言っていたが何故今なのか、というか早すぎるだろう。石橋を叩きすぎて崩れ落ちるタイプかもしれない。


しゃくれキリシタンがドヤ顔で書き直したばかりという台本を配り始めたが、そんなことは少しの言い訳にもならない。遅れは遅れだ。


横を見ると栄華楼山田が、配られた台本を読んでるフリをして寝ようとして間違えたらしく、寝てるフリをしながら配られた台本を読んでいた。
相変わらず不器用な男だ。



彼はいつも左だけ2、3本鼻毛がでている。そのことに俺は気づいているが敢えて本人には伝えていない。
なぜなら彼がまだ若く経験が浅いからだ。彼がホンモノの表現者となるためには、自分で気がつき伸ばしていく必要があるからである。
彼の鼻毛がこの先、4センチ5センチと伸びていくのがたのしみでならない。



石黒っちとは目が合った。
よく合う気がする。つまり、それは彼女が稽古中によく俺を見つめているという事を意味する。
彼女と俺はこの芝居で抱き合うシーンがあるのだが、背中に回された彼女の腕に日に日に力強さが増していくのを感じる。
そのことを思うと興奮を禁じえず、妻の乳首をツネる指に一層力がこもり、妻は声にならない吐息を漏らした。



ヤマケンは姿を消していた。
彼は変わっていて背景と完全に同化できるという得意体質を持っている。
父方だか母方だかどちらかの家系にカメレオンの血が入っているとウソぶいていてが、なんにせよ、体の色が変わるというのは役者として武器なのかなんなのかは分からんが個性ではある。
女湯とか入り放題じゃん、といつも思うが、バカだと思われるので言わない。
稽古場ではつけ込まれるスキは見せない主義だ。



あの阿呆にもぜひ見習って欲しい流儀だ。
とにかく、クセのある個性的な顔ぶれで、シャクレたシャバぞうにまとめ上げられるはずなどハナからない。前世からやり直せば?と言いたいが、まあ好きにすればいいと思う。


俺は、与えられた役を演じるだけだ。俺の出る芝居が面白くならないワケがないからね。

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えー、というわけで、宇原さんと見せかけて実は西池でした。
思いつきで書いちゃいましたが、悪ふざけが過ぎたかもと反省してます。


全部ウソですよ!あ、西池が稽古に遅れたのはホントです。すいませんでした。

全部ウソですが、個性的な顔ぶれなのは間違えないです。

超面白い舞台になるので、ぜひ見に来てくださいね。

宇原さんゴメンなさい。

西池

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